量子場の理論(Peskin & Schroder)

ゼミで、この本の3章1節〜2節、ディラック場の箇所の担当でした。こんな内容:

  • 電子を記述する古典場をつくる。
    • それは相対論に矛盾しないようローレンツ不変であり、量子力学の要求からスピンを記述できなくてはならない。
    • ローレンツ不変な方程式を作るにはどうすればいいか。
      • 一般に、場の変換は
        • \Phi_a(x) \; \to \; \tilde{\Phi}_a(x) = M_{ab}(\Lambda) \Phi_b(\Lambda^{-1} x)
      • の形式、元の点\Lambda^{-1} xまで値を読みにいき、読んだ値にM_{ab}(\Lambda)なる補正を加えること、で表される。
      • ローレンツ変換を受けるn成分場を特徴付けるには、この"補正"を表すローレンツ群のnxn表現M_{ab}(\Lambda)を挙げればよい。
      • 連続群の表現を挙げるには、定められた交換関係を満たすようなLie代数の生成元を用意すればよい。
      • ローレンツ群の生成元の満たすべき交換関係は次のとおり。
      • Diracのわざを使えば、この交換関係をみたす生成元を量産できる。
    • このなかからスピンを記述しうるものを探せばよい。
      • それがスピノルである。γ行列をこのように置いて、生成元をDiracのわざによりγ行列で表す。
      • スピノル場がみたすべき方程式を探そう。
      • γ行列の添字は、ベクトル添字であることが示されうる。この添字を4元微分演算子の添字と縮約することで、ローレンツ不変な方程式を得ることができる。
      • これこそDirac方程式である。
    • Dirac方程式は、(相対論に従う粒子ならスピンの有無にかかわらず満たすべき)Klein-Gordon方程式を含意するので、スピノルは相対論と矛盾しないといえる。
    • スピノル空間は可約である。各コンポーネントローレンツ変換のうち空間回転に対しては普通のスピン・ベクトルと同じように変換するので、スピノルはスピンを表していると考えうる。