電磁気学IV

エバネッセント波

屈折率のことなる物質同士の界面で電磁波が全反射されているとき、本来電磁波が出ないほうの側の媒質に発生する電磁波。形式的に計算すると純虚数の波数を持つ。これはエバネッセント波が界面から離れるにしたがってexpのオーダーで減衰していること、またせいぜい数波長分しか届かないことに対応する。

導波路

全反射の条件をみたしながら電磁波が中を通れる細長い媒質。光量子コンピュータの回路への応用が期待されるだけでなく、小型化を続ける現在のCPUにも必須な概念。
全反射の条件をみたす電磁波を導波路に入射させるにはエバネッセント波を使う。

群速度と光速より速い光

  • 一般的に、波には位相速度と群速度が定義でき、群速度が情報伝達の速度である。したがって群速度は光速を超えてはならない。
  • 物質中では波長によって屈折率が異なる。分散媒質(特定の波長の光を強く吸収する)は、その特定の波長付近で特に屈折率が大きく変化する。
  • このため分散媒質は、特定の波長付近の波を重ね合わせて作った波束を、光速より速く伝達する。
  • 光速より速い光があるのか。
  • しかしこの光速より速い光を構成する単色光たちは、波長によって屈折率が大きく違うものだから、分散媒質の中を伝わるうちに速度差がつく。波束はどんどん平らになってしまう。
  • このため、波束から読み取れる情報がどんどん劣化する。
  • 光速より速い光の群速度が、情報伝達速度としては適当でないのである。